• 2025年7月24日

“日本一”の超高血糖症例が教えてくれたこと

こんにちは。豊中市で糖尿病診療に力を入れている 城医院 です。院長は日本糖尿病学会認定の糖尿病専門医・指導医として日々診療を行っていますが、今日は「どうして糖尿病を専門にしようと思ったのか」という原点をお話しします。



2003 年、武者修行先の救急外来で

初期研修を終えたばかりの若手医師だった私は、“救急車は断らない”ことで有名な関連病院に赴任しました。救急当番のある日、40 代前半男性が意識障害で搬送されてきます。脳卒中や心筋梗塞などの緊急疾患を除外しながら検査を進めていると、検査室から「血糖値が測定できません」という緊迫した連絡――。

測定不能=600 mg/dL超、その先にあった数字

低血糖ではなく“測定不能なほどの高血糖”と知った私は、検体を希釈して再測定する方法をとりました。結果は――

血糖値 2,766 mg/dL  

当時の文献報告ベースでは 日本一、現在でも報告例としては極めて稀なレベルの高血糖です。

診断は「劇症1型糖尿病」

数日のうちにインスリン分泌がほぼ消失してしまう劇症1型糖尿病。糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)、急性腎不全、貧血も合併した重症例でしたが、集中治療で社会復帰まで漕ぎつけることができました。  

この経験がくれた3つの学び
• 糖尿病は“急性疾患”にもなり得る。
わずか数日で命を脅かす高血糖状態に移行することがあるため、軽い症状でも急変を常に疑い、患者さんへ早期受診を啓発することが重要です。
• 数字の裏にある“人”を診る。
血糖 2,766 mg/dLという異常値でも救命・社会復帰が可能だったように、診療ではデータだけでなく生活背景や回復後の人生設計まで視野に入れて伴走します。
• チーム医療の力を最大限に活かす。
ICU から透析医、検査技師まで総動員で救命できた経験を踏まえ、クリニックでも多職種連携を強化し、地域全体で患者さんを支える体制づくりに努めています。

「日本一」を超えて伝えたいこと

確かにこの症例は“日本一”クラスの高血糖でした。しかし自慢したいのではありません。
1. 糖尿病は“静かな病気”という先入観を壊したい
2. 早期治療で人生を守れることを知ってほしい
3. 医療者も常に学び続け、最善を尽くす覚悟を持つべき

この患者さんのおかげで、私は二十数年にわたり高血糖による意識障害の症例に遭遇しても落ち着いて治療できるようになりました。糖尿病専門医としての原点であり、いまも診察室で“あの日の衝撃”を胸に、目の前の患者さんに向き合っています。



さいごに

糖尿病は決して“ゆっくり進むだけ”の病気ではありません。急変することもある――だからこそ、定期的なチェックと専門医のサポートが重要です。もし気になる症状があれば、ぜひお気軽に城医院までご相談ください。

あなたの血糖値、そして人生を守るお手伝いを――。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/49/12/49_12_929/_pdf/-char/ja

城医院 院長 城聡一

監修

城医院 院長 城聡一
医学博士、糖尿病専門医指導医、産業医、労働衛生コンサルタント

院長は糖尿病専門医として25年の経験と、年間4,000名以上の治療実績があります。
また、産業医・労働衛生コンサルタントとして15年の経験があり、10社以上と契約し、延べ1,000件以上の産業医面談(メンタル相談含む)を行なっています。

ホームページ