• 2025年11月10日

“細いね”は褒め言葉じゃない——若年女性の低体重とGLP-1適応外ダイエットに赤信号

こんにちは。豊中市で糖尿病診療に力を入れている城医院です。
院長は糖尿病専門医指導医として25年の経験と、年間4,000名以上の診療実績があります。
また産業医・労働衛生コンサルタントとして15年、10社以上と契約し、延べ1,000件以上の産業医面談を行ってきました。城医院の公式サイトはこちらです。
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今日は「若い女性に増える“やせ(低体重)”と、GLP-1薬の適応外ダイエット」についての話題です。

【CTA】体重の悩みは一人で抱え込まないで。まずは安全確認から。受診や相談は上の公式サイトからどうぞ。

いま、何が起きているか

最近、20〜30代女性で「BMI18.5未満=やせ」の割合が**約20%**というデータが出ています。女性全体でもやせは約12%。長年、高止まりが続いています(1)(2)。  

“やせ”が体に起こすこと

一般向けに要点だけ、スマホ読みでサクッとどうぞ。
• 骨と筋肉:栄養不足は骨密度低下・将来の骨粗しょう症や骨折リスクを高め、筋量低下(サルコペニア様)につながります(4)。とくに若い時期の骨量不足は後で取り返しがつきにくいです。 
• 貧血や免疫低下:鉄・葉酸・B12不足による貧血、亜鉛不足による創傷治癒遅延・味覚異常など(4)。 
• 月経・妊娠:過度なダイエットは月経不順・無月経、不妊のリスク上昇。妊娠前からのやせは低出生体重児や早産のリスクを高める報告があります(2)(9)。  
• “やせの重症度”の目安:WHOはBMI<17を中等度〜重度のやせ、<16は健康被害が顕著に増える水準と示しています。ここは迷わず受診のラインです(3)。 

GLP-1受容体作動薬の「適応外ダイエット」は絶対にNG
• ルール:オゼンピック等のGLP-1は本来は2型糖尿病の治療薬。美容・痩身目的の適応外使用が問題となり、学会と厚労省が繰り返し注意喚起しています(5)(6)。必要な糖尿病患者さんの薬が不足した時期もありました(5)。  
• 副作用:吐き気・嘔吐・下痢・便秘・腹痛などの消化器症状、まれに急性膵炎など。やせている方の自己判断使用は、栄養障害やサルコペニア悪化のリスクがあります(6)。 
• 肥満症の薬(ウゴービ):日本では肥満症に限って使えるGLP-1製剤(セマグルチド)があり、BMI35以上、または**BMI27以上で高血圧・脂質異常症・2型糖尿病などを含む“健康障害が2つ以上”**などの厳格な条件で使用します(7)(8)。「見た目のため」には処方できません(7)(8)。  

【CTA】GLP-1が気になっている方へ——適応かどうかの確認が先です。安易なオンライン処方や個人輸入は危険。医師にご相談ください。

受診の目安(どれか一つでも当てはまれば相談を)
• BMIが17未満、または3か月で体重の5%以上減少(3)。 
• 月経不順・無月経、疲れやすさ、めまい、立ちくらみ、髪や肌の不調。
• 食事が怖い/止められないなど摂食行動の変化。SCOFFなど簡易スクリーニングは一次チェックに有用です(11)。 

回復へのロードマップ(安全第一のコツ)
• 食事:エネルギー不足をまず解消。たんぱく質(体重×1.0g/日目安〜個別化)を毎食で。鉄・葉酸・B12、カルシウム&ビタミンDも意識(4)。 
• 運動:レジスタンストレーニングで筋量と骨へ負荷。やせの人は“燃やす運動”より“作る運動”から。
• 睡眠とストレス:ホルモンの回復に必須。
• 専門家につなぐ:体重や月経の変化、嘔吐や下剤使用の癖がある場合は摂食障害の専門医療へ(11)。 

産業医の視点:職場でできること
• 「細い=褒める」をやめる、体型コメントを控える。
• 健診でBMI18.5未満は産業保健職がフォロー(食事・睡眠・メンタル)。
• 制服サイズの選択肢や、栄養と睡眠を重視したウェルビーイング施策。
• 相談窓口の周知と医療につなぐ導線づくり。
若い労働力の健康投資は企業の生産性に直結します。

【CTA】企業・健保向けに「やせの健康影響/GLP-1適正使用」研修・面談を実施しています。お問い合わせは文末リンクから。

まとめ

若い女性の**“やせ”は珍しくありませんが、放置は危険**。まずは数字(BMI)と症状を確認し、安全に体を取り戻すステップを一緒に進めましょう。GLP-1薬の適応外ダイエットは不可。必要な人に必要な薬を——医療の大原則です。
みなさんは体型や健康に関する“褒め言葉”やSNSの情報で困った経験はありますか?コメントで教えてください。

引用・参照(本文の番号順)
1. 令和5年 国民健康・栄養調査 結果の概要(厚生労働省, 2024)— 20〜30歳代女性の「やせ」20.2% 等。 
2. 若い女性の「やせ」と健康・栄養問題(厚生労働省, 2025)— 骨粗しょう症や次世代への影響に言及。 
3. WHO:Adult thinness(BMI<17/16の健康リスクの目安) 
4. 日本肥満学会ステートメント(2025.4.16)— 閉経前女性の低体重がもたらす骨・筋・代謝・貧血等の課題。 
5. 日本糖尿病学会「GLP-1/GIP-GLP-1製剤の適応外使用に関する見解」(2023.11.28)— 供給逼迫の懸念と適正使用の要請。 
6. 厚生労働省 事務連絡「GLP-1受容体作動薬の適正使用について」— 美容・痩身目的の使用不可、副作用注意喚起。 
7. 「最適使用推進ガイドライン(案):セマグルチド(ウゴービ)」— BMI35以上またはBMI27以上+健康障害2つ以上等の適応基準。 
8. 日本肥満学会「肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント」(2025.4.10)— ウゴービの適応と運用の要点。 
9. 「妊産婦のための食生活指針」(厚生労働省/母子保健分野, 改訂版)— 妊娠前のやせと低出生体重・早産リスク。 
10. 摂食障害の早期発見とSCOFF日本語版の妥当性(2024 総説)— 一次スクリーニングの有用性。 

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城医院 院長 城聡一

監修

城医院 院長 城聡一
医学博士、糖尿病専門医指導医、産業医、労働衛生コンサルタント

院長は糖尿病専門医として25年の経験と、年間4,000名以上の治療実績があります。
また、産業医・労働衛生コンサルタントとして15年の経験があり、10社以上と契約し、延べ1,000件以上の産業医面談(メンタル相談含む)を行なっています。

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