• 2025年9月4日

最高レベルのエビデンス『UKPDS』が証明──2型糖尿病は“今すぐ”厳格コントロールで未来が変わる

こんにちは。豊中市で糖尿病診療に力を入れている城医院です。



UKPDS(ユーケーピーディーエス)とは?
• 正式名:United Kingdom Prospective Diabetes Study
• 期間:1977年から1997年までの20年間+追跡調査
• 対象:診断直後の2型糖尿病患者5,000人以上
• 目的:
1. 血糖値を“できるだけ正常に近づける”治療(強化療法)が
従来の治療よりも合併症を減らせるか?
2. その効果が長く続くのか?

治療薬はインスリンやスルフォニル尿素薬(SU薬)、メトホルミンなど。食事・運動療法をベースに「強化群」と「従来群」に分け、血糖コントロールの厳しさを比較しました。



主な結果をざっくり解説

スライドの矢印は「リスクの下がり具合」を示しています(%は従来群に対する強化群の変化)。

画像

ポイントは 「細小血管合併症が約25%減り、その効果が10年後もほぼ同じ幅で残った」 というところです。心筋梗塞も時間とともに有意差が見えてきました。



早期・厳格な血糖管理が大事な理由
1. 合併症は“時間”と“血糖値”の掛け算
高血糖が長く続くほど血管がダメージを受けやすくなります。診断直後から血糖値を低めに保つほど、その後のリスクを小さくできます。
2. 生活の質と医療費を守る
視力低下や透析、足の切断といった細小血管合併症は日常生活と仕事に直結します。働き盛りのうちからコントロールすることで、将来の医療費・介護費を抑えられます。
3. “働き方改革”にもプラス
産業医・労働衛生コンサルタントの立場から見ると、合併症の予防は企業にとっても大きな損失回避。従業員がいつまでも元気に働ける環境づくりに直結します。



レガシー効果(記憶効果)とは?

試験終了後、強化群と従来群のHbA1c(平均血糖)はほぼ同じに戻りました。
それでも 「最初の10年間の差」が、その後10年以上も合併症リスクの差として残り続けた ─ この現象を“レガシー効果”と呼びます。

早めに良い血糖コントロールを「体に教え込む」と、あとで少し悪化しても合併症を起こしにくい“貯金”ができるイメージです。



まとめ
• UKPDSは、2型糖尿病で最初から血糖値をしっかり下げると細小血管合併症を約25%減らせると示した歴史的研究です。
• さらに心筋梗塞や死亡の抑制効果も、10年、20年と遅れて表れることがわかりました。
• この“レガシー効果”は「治療は早いほど得をする」ことの科学的裏付けです。

当院では、食事・運動療法を土台に最新の薬物療法や継続的血糖モニター(CGM)を組み合わせ、一人ひとりに合った“早期かつ安全な”血糖管理をサポートしています。気になる方はお気軽にご相談ください。

城医院|豊中市庄内駅10分の糖尿病専門医・産業医豊中市庄内の城医院のホームページです。 院長は日本糖尿病学会認定の糖尿病専門医であり糖尿病治療に力を入れているのが当院の大jo-iin.com

城医院 院長 城聡一

監修

城医院 院長 城聡一
医学博士、糖尿病専門医指導医、産業医、労働衛生コンサルタント

院長は糖尿病専門医として25年の経験と、年間4,000名以上の治療実績があります。
また、産業医・労働衛生コンサルタントとして15年の経験があり、10社以上と契約し、延べ1,000件以上の産業医面談(メンタル相談含む)を行なっています。

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